曲がり角ですれ違う“お母さん”

となりのトトロのオープニングで引越し中の草壁一家が、前方のまがり角から曲がってきたバスとすれ違うシーンがあります。実はこれが問題のシーンなのです。

となりのトトロでは、この境界線というものが非常に多く表現されています。引越しをしてくる親子三人が境界的存在の郵便配達人を橋のうえで追い越して、橋をわたると今度は曲がり角です。角も境界線で、そこから1台のバスがやってくるのです。

そして、オート三輪とバスはちょうど曲がり角ですれ違います。このすれ違ったバスには「八国山」と書いてあります。八国山は実在する場所で、かつて結核療養所のあった場所、サツキとメイのお母さんが入院している病院がある場所が「七国山」です。七国山はアニメのなか、つまり非現実な場所にのみ存在する地名です。それで、このバスは七国山から八国山に向けて走ってきたバスということが解ります。

これは、非現実の世界から実在する場所に移動してくる、つまり、あの世からこの世にやってくるバスということが解ります。
そして、このバスに乗っているのは運転手を含め3名です。運転手の右横に蒼白い顔をした女性がひとり座っています。おそらく、これはサツキとメイのお母さんだと思います。
つまり、すでにお母さんは亡くなっているのです。ここでお母さんが亡くなっているなんて誰も思わないでしょうが、実は死んでいるのです。

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